コンセプトデザイン

モノは人生に意味を与える。

 世の中には解決策(ソリューション)が溢れています。今必要なものは百円ショップやネットショップでローコストで最適なものが手に入ります。たとえ売っていなくても、探す気になればYouTubeやVlogの中に再現性のある方法を見つけることが出来るでしょう。

 また、最新最高の技術を駆使し年月をかけてモノを作っても、明日にはその廉価版が登場し、利益をさらって行きます。

 そんな時代に「新しいモノを作る」ことの価値とは何でしょう。

 

 それは貴社のつくるモノが、どの大きな物語とどのように接続されるか、です。

 

 「大きな物語」とは人生を包むものです。人によりそれは「使命」「本懐」といった「生まれて来た目的」を表すものであったり、「趣味」「生業」といった「今の存在を形作るもの」であったりします。どちらも、自身を充たしながら自尊心を越えたものとの繋がりを感じることで「人生に意味を与え」てくれます。それを創る苦労は大きいのですが、またその喜びも果実も計り知れません。

コンセプトとは「商品の意味」

 世界の優れたマーケッター*によれは、消費者を引きつける力が大きくは5つあります。(* A.Buchholz & W.Wordemann著 what makes winning brands diferentより)

 「便益」

 「規範」

 「認識」

 「アイデンティティ」

 「感情」

 ざっくりと申し上げますと、上の3つは「売り方」による価値、「アイデンティティ」「感情」は「あり方」による価値です。

 特に「アイデンティティ」「感情」にはとても強い吸引力があるとされていますが、この2つには「解決策としてのモノ」を越えた視点が必要です。

 

 ミラノ工科大学のロベルト・ベルガンディ教授は「愛すべきものは、いつも他者からもたらされる。贈り物は、贈り主の気持ちから生まれることが重要で、それは贈り主自身の意味の探索なのである。」と語りました。(「突破するデザイン-あふれるビジョンから最高のヒットをつくる-より)

 

 モノを提供する側(メーカー)自身が共感の出発点になる必要があります。

 意味を持つ「プロダクトアウト」。私たちの「贈りたい気持ち」を、全ての共感のスタートとしようではありませんか。(上著で著者は「ビジョン」の大切さと有用性を説いています。)

Policy

 やさしく、やさしく、うつくしく。

 どんなに正しくても、やさしくなければ価値がない。

 どんなに便利でも、誰かを置き去りにしてはいけない。

 どんなにやさしくても、美しい姿をまとわなければ伝わらない。 

 

 デザインの本質は「自分以外の誰かのために創意工夫する事」です。「知恵の具現化による利他」とも言えますが、前者の平易な表現の方がより核心に近いかもしれません。デザインに限らず、開発の現場においてはどの場面でも創意工夫がなされています。デザインだけが特別なのではありません。しかしデザイナーの得意とするところは、専門的な視点と、包括的な視点を行き来しながら知恵を絞ることです。これこそがデザイナーの仕事と言えます。デザイナーの目と技術をどうぞ、あなたの製品に活用してください。